準大手ゼネコン西松建設(東京都港区)の裏金事件で、同社関係者が、長野県の村井仁知事の周辺に多額の資金を提供したと東京地検特捜部の調べに供述していることが分かった。村井知事の衆院議員時代の公設秘書で、同県総務部参事の右近謙一さん(59)が二十四日夕、長野市内で自殺しているのが見つかっており、東京地検は参考人として右近さんを事情聴取していた。
西松建設の裏金事件では、前社長国沢幹雄被告(70)ら三人が国内での受注工作に使う目的で、海外でつくった裏金七千万円を無届けで国内に持ち込んだとして外為法違反容疑で逮捕、起訴されている。
関係者によると、村井氏が二〇〇六年に知事に当選する前に、西松建設がつくった裏金の一部が村井氏周辺に渡っていたという情報があり、それを裏付けるために右近さんから聴取したとみられる。
東京地検によると、特捜部は数回、右近さんを聴取。「取り調べの時間、時刻などすべて適正に行われた」としており、自殺との因果関係については「コメントする立場にない」としている。
西松建設OBが代表を務めていた政治団体「新政治問題研究会」の収支報告書には、衆院議員時代の二〇〇五年七月に開かれた村井氏の政治資金パーティーで、二十万円分のパーティー券を購入した記載がある。
右近さんは航空自衛隊出身。村井知事の衆院議員時代に長く公設秘書として支えた。〇六年の知事就任後は、同年十二月から四年四カ月の任期で危機管理担当の参事(部長級)を務めていた。
(東京新聞)