半導体材料のシリコンに高い電圧をかけると、磁場によって電気抵抗が大きく変化する特殊な現象が起きることを、京都大の小林研介准教授らが発見し、26日付の英科学誌ネイチャーに発表した。金属などの磁性体以外で、こうした性質が確かめられた例はないという。
この現象は「巨大磁気抵抗効果」と呼ばれ、パソコンのハードディスクや磁気センサーの高性能化に応用されて2007年のノーベル物理学賞の対象にもなった。小林准教授は「安価なシリコンを使った磁気記憶装置の開発に役立つかもしれない」と話している。
チームは5ミリ角のシリコン基板に高い電圧をかけ、磁場の強さを変化させて実験。すると電気抵抗が室温で約10倍、極低温では約100倍の変化を示した。
基板の上に金属微粒子を置いて実験中にたまたま発見。小林准教授は「身近で普及した素材にこんな性質が隠れていたなんて驚き」としている。