障害者団体の定期刊行物向けの郵便料金割引制度を悪用し、ダイレクトメール(DM)の発送料を免れた上、脱税した疑いが強まったとして、大阪地検特捜部は25日、郵便法と法人税法違反の疑いで、大阪市の広告代理店「新生企業」(現・伸正)の社長(53)と取締役を26日にも逮捕する方針を固めた。
関係者によると、同社は複数の障害者団体を使って、多くの広告会社に利用を持ち掛けていたという。数年で約1億通のDMを送り、免れたとされる正規料金との差額は数年で総額100億円超に上るとみられる。
割引制度は「心身障害者用低料第三種郵便物」。社長らは2006−07年ごろ、印刷・通販大手ウイルコ(石川県白山市)の通販DMを、本来は1通120円で発送しなければならないのに、障害者団体が発行したとする定期刊行物と同封。割引制度の1通8円で発送し、郵便料金数億円を不正に免れた疑いが持たれている。
また、新生企業は法人税6千数百万円を脱税した疑いで、大阪国税局から告発されている。
刊行物は新生企業が制作。刊行物の8割以上が有償購読されていることが利用条件だが、新生企業は広告主に刊行物を買い取らせ、郵便事業会社の承認を得ていた。郵便局へ申請する障害者団体には新生企業から「寄付」などとして現金が支払われたという。
社長は共同通信のこれまでの取材に「郵便事業会社の承認を得て発送した。悪いことをしたつもりはない」としている。