【ワシントン24日共同=下江祐成】麻生太郎首相は二十四日午前(日本時間二十五日未明)のオバマ米大統領との会談で、北朝鮮の長距離弾道ミサイル発射に向けた動きに対し「緊張を高める行動を取るべきではない」と自制を促す方針で一致、同盟強化を確認した。大統領は拉致、核・ミサイル問題の包括的な解決を目指す日本の立場に理解を示した。アフガニスタン支援では、日本の積極的な貢献に期待を表明した。
両首脳は北朝鮮核問題について「検証可能で完全な非核化実現」に向けた協力強化を確認。大統領は「日米が引き続き連携することが重要だ」と指摘した。
首相は、アフガン情勢の鍵を握るパキスタン安定化に向け四月に東京で支援国会合を開催すると表明。新たに吉川元偉駐スペイン大使をアフガン、パキスタン担当特使に任命し、米国のアフガン戦略見直し作業に参加させるため三月に米国へ派遣する考えを示した。
大統領は「国際社会が今まで以上に努力する必要がある。開発、インフラ整備などで日本が積極的な役割を果たすのを歓迎する」と述べた。
世界的な経済危機対応で、両首脳は積極的な内需拡大策に取り組む方針で合意。四月にロンドンで開く第二回金融サミットに向け、国際金融システム安定化へ協力を加速させることになった。
大統領は「日米同盟を強化したい。日本は偉大なパートナー」と強調。日米同盟をめぐり「米国は核抑止力を含めた対日防衛に引き続き責任を果たす。日本は安全保障の礎石だ」と日米安保体制を堅持する考えを明言した。双方は、さまざまな国際課題に共同対処できる「重層的同盟」構築を目指す方針で一致。ロードマップ(行程表)に基づく在日米軍再編の着実な実施も確認した。
大統領は「開放された貿易体制の維持が重要だ」と保護主義の抑制に取り組む考えを強調。首相は通貨体制に関し「ドルの信認維持が重要だ」と指摘した。
地球温暖化対策については、二〇一三年以降の新たな国際枠組み(ポスト京都議定書)づくりで日米が連携することで合意した。会談は約一時間二十分にわたり行われた。