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2009年02月25日(水) 03時14分

旧「ペイントハウス」見せ金増資の疑い、監視委が告発へ読売新聞

 ジャスダックに上場していた住宅リフォーム会社「ペイントハウス」(東京都多摩市)が多額の資金を調達したように見せかける「架空増資」を行ったとして、証券取引等監視委員会は増資にかかわった投資コンサルタント会社の役員(57)とペイント社の当時の幹部ら数人を、旧証券取引法違反(偽計=現・金融商品取引法)の疑いで東京地検に告発する方針を固めた。

 増資公表でペイント社の株価は上昇、役員側は引き受けた株を売却して4億円近い利益を得ていた。監視委は、役員らが株価つり上げを狙って増資を装ったとみて調べている。

 投資コンサルタント会社は、ペイント社と業務委託契約を結んでいた「ソブリンアセットマネジメントジャパン」(千代田区)。ペイント社は2005年5月6日、ソブリン傘下の投資ファンド「ロータス投資事業組合」(同)を受け皿に、第三者割当増資を実行すると公表。同月26日、27万8000株分の新株予約権の代金として、3億4000万円の払い込みを受けた。

 関係者によると、ソブリン社は増資当日、埼玉県和光市の電機メーカーから3億2000万円を借り入れ、この資金に充てていた。監視委は、増資翌日に〈1〉ペイント社が「サンライズ・テクノロジー」(千代田区)にシステム開発代金を支払い〈2〉サンライズ社は、ソブリン社役員が資産運用を担当する英領バージン諸島の特別目的会社に債務を返済〈3〉ソブリン社が送金を受けて、電機メーカーに返済——と資金が流れたことに注目。07年11月に関係先を捜索した。

 押収した資料の分析や関係者の聴取で、サンライズ社にシステム開発を発注する計画が以前からあったように書類が偽造された疑いのあることや、納品されたシステムをペイント社内で使用した形跡がないことなどが判明、役員とペイント社の当時の幹部らが資金を循環させるだけの架空増資を行った可能性が高いと判断した。

 役員らは増資から約2か月でペイント社株すべてを市場売却、4億円近い利益を手にした。監視委では資金調達したように見せかけ、株価をつり上げることが目的だったとみている。

 ソブリン社役員は、取材に「金額が合っている取引をつなぎ合わせた」と述べ、資金が回るよう計画したことは認めたものの、「それぞれは別々の取引で架空増資ではない」と疑惑を否定した。ペイント社は代理人を通じて「ノーコメント」としている。

 ペイントハウスは1988年創業。最盛期の02年8月期の売上高は386億円に上るなどリフォーム業界大手の一角を占め、サッカーJ1の大分トリニータのメーンスポンサーになっていたこともあった。2期連続で債務超過に陥ったことから06年7月に上場廃止になり、08年1月、ティエムシーに社名変更した。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090225-OYT1T00043.htm?from=main3