宇宙航空研究開発機構は25日、国際宇宙ステーションに長期滞在する新たな宇宙飛行士候補として、防衛省航空幕僚監部の2等空佐油井亀美也さん(39)と、全日本空輸の副操縦士大西卓哉さん(33)の2人を選抜したと発表した。パイロットからの転身は初めて。
新しい飛行士候補が選ばれるのは1999年の3人以来、10年ぶり。宇宙機構の宇宙飛行士は、退職した毛利衛さん(61)を含めこれで10人。宇宙機構はさらに、今後1年以内に不足が生じた場合だけ採用する条件で、補欠1人を選ぶ。
2人は4月に宇宙機構に入り、6月から約2年間、米航空宇宙局(NASA)などで訓練。正式に宇宙飛行士に認定された後、ステーションの日本実験棟「きぼう」での実験や、ステーションの運航に携わる。初飛行は早ければ2013年末ごろ。
2人は同日、都内で記者会見。油井さんは「うれしさと、待ち受ける厳しい訓練に不安もある。国民の期待を裏切らないよう一生懸命頑張っていきたい」と述べ、大西さんは「身の引き締まる思いだ。状況判断や決断力など、適性が共通するパイロットの経験を生かしたい」と抱負を語った。
油井さんは長野県生まれで千葉県在住。防衛大卒業後、航空自衛隊でテストパイロットなどを経験。「星がきれいなところで育ち、天文学者か宇宙飛行士になりたかった」と話した。大西さんは東京都生まれで江東区在住。東京大卒業後、全日空に入り、国内線や中国路線などで乗務。「幼いころから宇宙に漠然とあこがれていた」という。
選抜には過去最多の963人の応募があった。書類審査の後、英語や一般教養に加え、医学検査、心理適性テストなどの厳しい選抜を経て、最終的に絞り込んだ。