香川県立中央病院(高松市)は25日、受精卵取り違えの川田清弥医師(61)が昨年4月以降、日本産科婦人科学会の倫理規定に違反した不妊治療を患者23人に実施し、2人に多胎妊娠が起きてともに双子を出産、別の1人が流産したと発表した。
双子2組のうち3人が2500グラム未満の低体重だったが経過は良好という。23人のうち妊娠したのは11人で、取り違えで人工中絶した20代女性も含まれる。
違反は複数個の受精卵を移植する「2段階胚移植」で、多胎妊娠の危険があるため同学会が原則として禁止。同学会は川田医師を聴取し、28日の理事会で対応を協議する見通し。香川県も今後、川田医師の懲戒処分について検討する。
昨年9月の取り違えは、20代女性に移植する複数個の受精卵を作業台に並べて選ぶ過程で起きた。同学会には今後、倫理規定の一層の徹底が求められそうだ。
病院によると、川田医師は昨年4月から今月までに、患者70人に受精卵移植を実施。うち23人(26−46歳)に実施した計28回が、受精卵3個を移植する違反治療だった。
うち11人が妊娠し、2人が双子で、9人が1人だけの妊娠だった。9人のうち1人は流産。3つ子以上の妊娠はなかった。
川田医師は昨年10月に取り違えを病院長に報告したが、その後も2人に違反治療をしていたことも判明。学会の規定に従うよう求めた病院長の指示を無視する形で行われていた。
記者会見した松本祐蔵院長は倫理規定違反について「今後は順守する」と陳謝。再発防止策として、専任の胚培養士の配置や、患者に倫理規定の説明を十分に行うことなどを挙げた。