鹿児島県の西海岸と上甑島、下甑島の漁港など5カ所で25日、係留していた小型漁船計19隻が沈没、転覆しているのが見つかった。約10分単位で潮位が大きく変動する「副振動」が原因とみられ、鹿児島地方気象台は今後も海面の昇降が起きる可能性があるとして警戒を呼び掛けた。上甑島では8棟が床下浸水、マグロ養殖用のいけすが破損する被害も出た。
副振動は「あびき」とも呼ばれ、春ごろ起きる現象。同気象台によると、24日から25日未明にかけて九州南部を低気圧が通過、東シナ海の気圧が急激に変化したため、九州南部の西海岸を中心に発生したという。
県や甑島漁協によると、急激な潮位変化により、船を係留していたロープが切れるなどして漁船が沈没、転覆した。入り江の奥に位置する上甑島の小島漁港では普段から潮位の変化が激しく、2004年3月にも副振動で漁船が転覆したという。
枕崎港では24日午後11時27分、12分周期で最大143センチの潮位変動を記録。長崎、熊本、宮崎各県でも観測された。