岩手県二戸市で、合併前の旧浄法寺町が町民から便宜的に預かっていた国民年金手帳約4890冊が30年以上にわたって放置され、9人が納付記録漏れのため本来受給できる額よりも少なく年金を受けとっていたことが25日、分かった。
市や二戸社会保険事務所が国の記録と照合した結果、10人に1年−1カ月の記載漏れがあり、うち9人は支給された年金が年額で3万3000−1700円少なかった。残る1人は年金受給年齢に達していなかった。同事務所は受給漏れの期間を調べるなど増額の手続きを進めている。
市によると、放置されていた手帳4891冊は1961−78年に発行され、昨年12月中旬に浄法寺総合支所の書庫から段ボールに入った状態で見つかった。一部は持ち主が所在不明のために保存されていた。
旧浄法寺町では61−74年、紛失防止などのために希望者から手帳を預かっていた。市の担当者は「制度改正があり、74年から手帳を使用せず年金を納付できるようになったが、その後の引き継ぎがうまくいかず、持ち主に返還されなかったようだ」と説明している。市は持ち主に謝罪し、郵送や手渡しなどで手帳を返却している。