神奈川県労働委員会は25日、アスベスト(石綿)被害をめぐり、断熱工事会社「山陽断熱」(岡山県玉野市)が退職者との団体交渉を拒否したのは不当労働行為に当たるとして、同社に団交に応じることを求める救済命令を出した。社員の遺族との交渉拒否は、不当労働行為と認定しなかった。
救済を申し立てたのは、退職者3人と遺族4人が所属する「全日本造船機械労働組合アスベスト関連産業分会」(横浜市)。分会が神奈川県庁で会見して明らかにした。
救済命令によると、分会は2007年5月、山陽断熱に石綿被害の補償について交渉を申し入れたが、山陽断熱は退職者らとは雇用関係にないとして団交を拒否した。
命令書では、退職者の石綿被害の補償は労使関係にあった時の「未清算の問題」であるとして団交を拒否できないと認定。遺族については「会社との雇用関係が存在しない」として不当労働行為には当たらないとした。
分会は「遺族については交渉の中で補償を求めていく」としている。山陽断熱は「担当者が不在でコメントできない」と話している。