名古屋港で今月上旬、アフガニスタン向けのコンテナの中から、ヘロインの製造などに使われる化学物質「無水酢酸」が見つかった事件に関連し、愛知県警外事課や名古屋税関が、新たに1・4トンの無水酢酸を押収していたことが分かった。県警は25日、関税法違反(無許可輸出未遂)容疑で、パキスタン国籍で名古屋市港区甚兵衛通1、会社員ナジール・モハメド・フェイヤーズ容疑者(40)を逮捕。共犯とみられる同国籍で同僚の男(33)を指名手配する。
県警は、送り先がアフガニスタンの旧政権タリバンなど反政府武装勢力の可能性が高く、日本国内にタリバン支援のネットワークがあるとみて捜査。2つの事件が同一グループによるものかなど、関連を調べる。
逮捕容疑は、フェイヤーズ容疑者らは、無水酢酸1・4トンを無許可でアフガニスタンに輸出しようとしたとされる。中古車などを輸出する際、金属製燃料タンクに隠していた。24日に名古屋税関の輸出検査で発見され、未遂に終わった。
捜査関係者によると、フェイヤーズ容疑者らは愛知県弥富市にある中古車輸出会社の社員だった。同僚の男と社長はすでに出国したとみられる。
名古屋港では今月4日、船の積み荷のコンテナの中から、ポリタンクに入った無水酢酸約900キログラムが見つかった。コンテナを送ろうとしたのは、愛知県武豊町に住んでいたパキスタン国籍のハズラット・ラフマン容疑者(47)で、貿易会社を営んでいた。ラフマン容疑者や周辺の外国人は無水酢酸が見つかった後に日本から出国、県警は国際手配の手続きを進めている。
県警には昨年春ごろ、「無水酢酸を大量に購入している外国人がいる」との情報が入り、捜査していた。
無水酢酸をめぐっては昨年7月、日本から韓国経由でアフガニスタンに密輸しようとしたグループが韓国警察に摘発され、12トンが押収された。グループは日本で無水酢酸を調達したとみられる。
(中日新聞)