広島市が展開する全米原爆展の会場と被爆地をインターネットを活用したテレビ会議システムで結び、米国に向けて被爆者が証言する初の試みが24日あった。新年度から本格的に導入し、核兵器廃絶の思いを伝える。
この日は原爆展開催中のインディアナ州インディアナポリスの大学の要請に応じた。爆心地から約1キロの自宅で被爆した寺本貴司さん(74)=廿日市市=が参加。原爆資料館東館(中区)と現地を結び、広島平和文化センターのスティーブン・リーパー理事長の通訳で画面に写る学生たちに被爆の惨状を語り、質問にも答えた。
全米原爆展は一昨年9月にスタート。新年度は25都市で予定する。ただ、被爆者の負担になることもあって訪米は難しくなっている。寺本さんは「米国を訪れた時と同じように伝えることができる」と手応えを感じていた。
【写真説明】画面に映る米国の学生に向け、核兵器廃絶の願いを伝える寺本さん(右手前)とリーパー理事長(右端)=24日、原爆資料館(撮影・今田豊)