【ジャカルタ24日共同】インドネシア・スマトラ島で一月下旬以降、絶滅の危機にひんしているスマトラトラによる襲撃が相次いでおり、少なくとも住民六人が死亡した。森林の違法伐採で生息地が急速に縮小していることが背景にあり、トラの生息地保護を訴える声が上がっている。
林業省の報道官は「殺された全員が違法伐採者。他にも数人が襲われて負傷した。襲撃が起きないようにするには、トラの生息地を脅かさないよう違法伐採を取り締まるしかない」と説明する。
襲撃が続くのはスマトラ島中部ジャンビ州ムアラジャンビ県。一月下旬に三人の殺害遺体が発見されたほか、今月二十一日に二人、二十二日に一人が村近くの森林で襲われて殺された。
ジャンビ自然保護局によると、襲撃が続く森林は保護区域に指定されているが、業者が住民らを雇って違法伐採を展開。トラ密猟も多く、同局が今月十日、わなで捕まえた「人食いトラ」は授乳可能なメスで、密猟者に盗まれた子を捜し回っていた可能性もあるという。
スマトラトラはトラの中で最も小型の亜種。世界自然保護基金(WWF)によると、生息数は推定四百—五百頭で、国際自然保護連合(IUCN)は絶滅
【写真説明】インドネシアのジャンビ州で、わなにかかった、3人を殺害したとみられるスマトラトラ=11日(AP=共同)