昨年10月に廿日市市で起きた硫化水素による強盗殺人未遂事件を受け、市消防本部は全身を覆う一体型の化学防護服4着などを導入する。これまでは顔と手足の先を覆わない簡易式防護服しかなかった。新年度予算案に購入費を計上する。
防護服は、空気呼吸器やヘルメットを着けたまま手足を含む全身を覆う一体型。サリンやVXガスなどほぼすべての有毒ガスや炭疽(たんそ)菌、天然痘にも対応できる。服の中の圧力を外気より高く保ち、縫い目などからもガスが入ってこない仕組み。1着68万円。
広島、呉市消防局などは既に常備しているが、廿日市市は導入が遅れ、消防本部には使い捨ての簡易式しかなかった。一時、約170人が避難した昨年の現場では、防護服と呼吸器マスクや手袋などのすき間からガスが入らないようガムテープを巻いて対応した。