記事登録
2009年02月24日(火) 07時27分

百十四銀行、10億円の不明朗融資…支店長ら特別背任容疑読売新聞

 高松市に本店を置く地銀、百十四銀行の九条支店(大阪市西区)が2007〜08年、大阪府内の不動産会社グループ4社に約10億円の不明朗な融資を行い、ほぼ全額が焦げ付いて銀行に損害を与えたとして、同行が当時の支店長(54)(人事部付)らについて会社法の特別背任容疑で府警に告訴状を出したことがわかった。

 支店側と4社を実質経営する元暴力団組員(39)との癒着が背景にあるとの情報もあり、府警は経緯や資金の流れを解明するため、24日、同容疑で関係先の捜索に乗り出す。

 捜査関係者によると、同支店は07年6月、4社と取引を開始。問題の融資は同年8月〜08年1月の間に行われ、いずれも支店長決裁で実行可能な金額(無担保1億円以下、担保付き3億円以下)で12回の融資を繰り返し、貸付総額は計10億円に上った。4社のうち1社が経営破綻(はたん)するなどし、現在は貸付金の大半が回収不能の状態という。

 支店長が08年1月、別の支店に異動した後、返済を求められた元組員が拒否したため、問題が発覚。同行が内部調査していた。

 支店長は府警の任意の事情聴取に対し、融資は元組員からの要請に基づくものだったとしたうえで、「回収の見込みはあった」と説明しているという。

 一方、元組員は読売新聞の取材に対し、同支店の取引先で経営が悪化した大阪市中央区のOA機器販売会社を支援するための迂回(うかい)融資だったなどとし、「支店長らから頼まれて間に入ったが、何の利益も得ていない」と証言。そのうえで、同支店との関係について「不動産の情報を得るため支店長らをゴルフや高級クラブで接待したり、スーツを贈ったりしていた」と話している。

 府警は4社などの捜索で関係書類を押収するとともに、支店側が元組員に何らかの弱みを握られていた可能性もあるとみて背景事情も詳しく調べる方針。

 百十四銀行は1878年、全国で114番目の国立銀行として創業。香川県を中心に全国に約120店舗あり、昨年3月末の預金残高は3兆1242億円。

 百十四銀行経営企画部の話「一切のコメントを差し控える」

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090224-OYT1T00204.htm