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2009年02月24日(火) 06時30分

本人の受精卵も2日前に移植…担当医、学会指針に抵触読売新聞

 香川県立中央病院(高松市)で体外受精卵を取り違えたとされる問題で、担当の川田清弥医師(61)が、取り違えた可能性のある移植の2日前、20歳代の女性本人の受精卵も移植していたことがわかった。

 日本産科婦人科学会は昨年4月の会告(指針)で、多胎妊娠を防ぐため、移植する受精卵は原則、一つと定めており、川田医師は読売新聞の取材に対し「会告に抵触すると認識していた」としている。

 同病院によると、川田医師は昨年9月15日、女性から採卵して体外受精。妊娠率を高めようと2段階胚(はい)移植の実施を決め、18日に受精卵を移植した。さらに20日に、より成熟した受精卵を移植。この2回目が40歳代の患者のものだった可能性が高いとされる。

 女性は11月11日に中絶したが、移植された二つの受精卵のうち、どちらが育っていたかはわからず、本人の子どもだった可能性は、これまで病院側が説明していたよりも高いことになる。

 学会の会告では「移植する胚(受精卵)は原則として単一とする」とし、「35歳以上または、2回以上妊娠しなかった場合は許容する」としている。女性は初めての胚移植だった。

 川田医師は「女性には会告に触れることは説明していないが、二つの受精卵を移植することに合意してもらっている。女性の受精卵の成育状況が悪かったため、妊娠率が高くなるのでいいと思った」などと話した。

 同学会の星合昊(ひろし)・倫理委員長は「多胎防止の観点から、20歳代で初の胚移植だったことを考えると、今回のケースは好ましくない。川田医師から事情を聞く」としている。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090224-OYT1T00003.htm