石川県は23日、クロマグロをいけすで育てて肉質改善する「畜養」を、珠洲市沖の飯田湾で今年から始める水産会社「道水」(北海道函館市)に、区画漁業権の免許を交付した。
県漁業協同組合は畜養マグロに加え、夏場に出回る天然物も併せてブランド化を進めようと、「能登本まぐろ」の名前で商標登録を申請中。県も、ブリなどが主流の県内水産業界で「マグロを新たな基幹漁業に」と支援に懸命だ。
県などによると、能登半島沖の日本海は、クロマグロの年間総漁獲量約2000トンを誇る好漁場。主に県外の大・中型まき網漁船が操業している。
谷本知事から免許を交付された道水の高野元宏社長は「大きく育った天然マグロを短期間で育てるため、身が締まり、トロが多い」と畜養の技術をPR。6〜7月に能登半島沖で捕れたマグロを飯田湾のいけす4基で育ててトロを増やし、年末には県内や築地(東京)への出荷を本格化させる。
一方、県漁協は今年から、金沢港と蛸島漁港(珠洲市)を能登半島沖で操業する県外の漁船団に開放することにした。これまでは、県外漁船団による大量水揚げで水産物の価格が下がるのを懸念する漁業関係者の反発や、マグロ加工技術者の不足などから寄港を制限していたが、方針を転換した。
能登沖のマグロは従来、県内には年間約500トンしか水揚げされなかったが、県外の漁船団受け入れで、今夏以降は水揚げが大幅に増えそうだ。県漁協はマグロの冷蔵に必要な製氷施設なども整備するという。
こうした動きに、谷本知事も「石川発のマグロが1年を通じて市場に供給出来る」と期待を寄せ、県は新年度予算案に「能登本まぐろブランド化推進事業費」として計180万円を計上。県漁協や流通業者などのブランド化推進協議会を設立し、マグロをテーマにしたシンポジウムも開く予定。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20090224-OYT1T00190.htm