厚生労働省は23日開かれた社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の年金部会で、5年に1度実施する公的年金の財政検証の結果を提示した。
現役世代の手取り収入に対する厚生年金の給付水準(所得代替率)は2038年度に50・1%となり現在より約2割低くなるが、それ以降は固定されると試算し、04年の年金改革で政府・与党が公約した「現役世代の5割確保」は辛うじて達成できるとしている。
04年の年金改革で導入された財政検証は、長期的な年金財政状況の見通しを把握するため、5年に1度実施するとされている。
検証では、夫が平均収入(手取り月35万8000円)の会社員、妻が専業主婦の「モデル世帯」の09年度の年金給付額を月22万3000円と設定し、出生率や賃金上昇率などを組み合わせた9ケースについて、将来の給付水準を試算した。
このうち、「合計特殊出生率1・26」「賃金上昇率2・5%」「積立金の運用利回り4・1%」などを条件とした「基本ケース」では、38年度の現役世代の手取り収入71・6万円に対し、モデル世帯の年金給付額は35・9万円になると推計した。所得代替率は09年度の62・3%から段階的に低下し、38年度には約2割減の50・1%となり、39年度以降はこの水準で固定される。
給付水準の低下は、少子高齢化という構造的要因に加え、04年の年金改革で導入された給付抑制策が12年度から発動されることなどが主な理由だ。出生率などの条件を最も厳しく設定した場合の所得代替率は、48年度に43・1%、逆に最も楽観的な条件設定では32年度に54・6%でそれぞれ固定されるとしている。
今回の検証は、基礎年金の国庫負担割合を2分の1に引き上げることが前提。実現できない場合は、27年度に国民年金の積立金が枯渇するとの見通しを示した。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20090224-OYT1T00011.htm