【パリ=林路郎】フランスの世界的デザイナー、故イブ・サンローラン氏の遺品オークションが23日夜、パリの大展示場グラン・パレで3日間の日程で始まり、落札総額は初日だけで2億600万ユーロ(約250億円)に達し、個人所蔵品としての世界の競売史上最高額を更新した。
これまでは、1997年のニューヨークでの競売(約195億円)が最高だった。
競売にかけられたのは、同氏と生涯のパートナーだったピエール・ベルジェ氏の2人が半世紀をかけて集め、パリ市内の自宅に所蔵していた美術品など733点。30億円の買値も予想されるピカソの絵画「小テーブル上の楽器」、ドラクロワなどの油絵をはじめ、ローマ彫刻や、15世紀にまでさかのぼる銀製品や家具、装飾品など、美術館並みの豪華な内容。21日から23日にかけての一般向け内覧会には、著名人など約3万人が詰めかけた。
世界記録の更新は、マティスの油絵「キズイセンと青・ピンクの敷物」が予想を大幅に上回る3200万ユーロ(約38億3000万円)で落札されたことなどによるという。
競売品には、18世紀の清朝中国製の十二支動物像の頭部像(予想落札価格は各12億円)も含まれ、中国側は「(アヘン戦争当時の)150年前に英仏が北京郊外で略奪したもの」としてパリ地裁に競売差し止めを求めたが、同裁が直前に請求を棄却、競売を認めた。サンローラン氏とベルジェ氏の意向で、売上金の大半はエイズ研究団体に寄付される。