内閣府食品安全委員会の専門調査会は24日、クローン牛や豚の食品としての安全性について、「通常の繁殖技術で生まれた牛や豚と同等の安全性がある」とする評価書案を了承した。
3月中にも同委員会で正式決定し、国民から意見を募ったうえで、最終的な評価結果を厚生労働省に報告する。実際の流通については、厚労省と農林水産省が判断する。
クローン牛・豚は、皮膚や卵管の細胞などの体細胞から作られる。しかし、死産と産後の死亡率が人工授精など従来の繁殖技術の5倍にあたる31%と高いことから、その安全性には懸念が示されていた。
評価書案では、こうした死亡率の高さはクローン技術の完成度の問題とし、「6か月を超えると、健常に発育する」と指摘。通常の家畜と同じ遺伝情報を持ち、肉や乳の栄養成分、アレルギー誘発性なども変わらないとして、食用としての安全性に「差がない」と結論づけた。その子孫についても、「従来の繁殖技術による牛、豚と差異は認められない」としている。
国内では昨年9月末までに、クローン牛557頭、クローン豚335頭が生まれている。しかし、農水省は消費者の混乱を避けるため、食用としての出荷は自粛を要請している。欧米でも流通を自粛しているため、国内では輸入品も含めて流通していない。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20090224-OYT1T00482.htm