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2009年02月24日(火) 00時00分

時代支えた女工の歌伝える読売新聞

シンガー・ソングライター吉岡さん
「厳しい労働の中、歌は女性たちが一生懸命生きたことの証」と吉岡さん

 明治から昭和初期にかけ、女性たちが過酷な労働の合間に歌った「秩父機織唄」や「カニ缶女工節」を、シンガー・ソングライターの吉岡しげ美さん=写真=が3月2日にコンサートで披露する。時代を支えた女性たちの歌を伝えたいという。

 「—親のためだと10年年季 主のためだとまた2年よ」。秩父機織唄が伝わったのは、織物「秩父銘仙」「秩父縞(ちちぶじま)」が名産だった埼玉県秩父地方。早朝から真夜中まで、機織りをしながら女性たちが即興の言葉で歌った。吉岡さんは約30年前、喫茶店で郷土史家、井上光三郎さんの写真集「秩父機織唄」を目にした。お年寄りの節くれだった手の写真や歌詞が心に残り、大学院の修士論文のテーマに選択。元女工たちのもとを訪れて歌ってもらい、採譜した。

 「—親のない子は泣き泣きかせぐ アラ 監獄部屋よりまだつらい」。北海道や北方の島の寒さの中、カニ缶工場で働いた女性たちが伝えた「カニ缶女工節」を知ったのもその頃だった。吉岡さんは、「機織唄や女工節には、農村の口減らしで送り込まれた逆境の中でも連帯し、武器を持たずに戦う女性らしいしたたかさが表れている」と語る。

 コンサート「春を感じて・桃の宴(うたげ)」は、港区六本木6のスイートベイジルSTB139で午後7時半開演。入場料5000円。問い合わせやチケット予約は「Happy Box 吉岡しげ美オフィス」(電)03・3478・8818。(杉野謙太郎)

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokyo23/news/20090224-OYT8T00080.htm