インドネシア・スマトラ島で1月下旬以降、絶滅の危機にひんしているスマトラトラによる襲撃が相次いでおり、少なくとも住民6人が死亡した。森林の違法伐採で生息地が急速に縮小していることが背景にあり、トラの生息地保護を訴える声が上がっている。
林業省の報道官は「殺された全員が違法伐採者。他にも数人が襲われて負傷した。襲撃が起きないようにするには、トラの生息地を脅かさないよう違法伐採を取り締まるしかない」と説明する。
襲撃が続くのはスマトラ島中部ジャンビ州ムアラジャンビ県。1月下旬に3人の遺体が発見されたほか、今月21日に2人、22日に1人が村近くの森林で襲われて殺された。
ジャンビ自然保護局によると、襲撃が続く森林は保護区域に指定されているが、業者が住民らを雇って違法伐採を展開。トラ密猟も多く、同局が今月10日、わなで捕まえた「人食いトラ」は授乳可能なメスで、密猟者に盗まれた子を捜し回っていた可能性もあるという。
スマトラトラはトラの中で最も小型の亜種。世界自然保護基金(WWF)によると、生息数は推定400—500頭で、国際自然保護連合(IUCN)は絶滅危惧(きぐ)種の中でも最も絶滅の恐れが高い種に分類している。(共同)
(2009年2月24日17時41分 スポーツ報知)
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