不妊治療患者の受精卵取り違えで、香川県立中央病院(高松市)は24日、川田清弥医師(61)が昨年4月以降、日本産科婦人科学会の倫理規定で禁じられている複数の受精卵移植を、患者に対して20回以上実施していたことを明らかにした。
移植を受けた患者数は不明だが、既に判明した20代女性以外にも不適正な治療が行われていたことになる。あらためて川田医師の倫理意識が問われそうだ。
倫理規定は胎児や母体に危険が大きい多胎妊娠を防ぐのが目的。一連の移植で実際に多胎が起きたかどうかは病院が調査中という。
病院によると、川田医師は昨年4月から今月までに計83回の受精卵移植を実施。うち約3割が倫理規定に違反していた。川田医師は「妊娠の可能性を高くするため」と説明するが、最新の技術では妊娠率はほとんど変わらないとされる。
川田医師は昨年9月、20代女性に3個の受精卵を移植。この際「多胎妊娠の可能性は低い」と判断し、禁止行為であることの説明はしなかった。後になって1個が別の患者のものの可能性が高まり、人工中絶した。