自衛隊のイラク派遣は憲法違反として、岡山県などの住民40人が違憲確認や1人1万円の慰謝料を国に求めた訴訟の判決で、岡山地裁(近下秀明裁判長)は24日、訴えを退けた。
判決理由で近下裁判長は、住民が主張する「平和的生存権」を「国民の基本的人権」と認めた上で、「現実に生命、身体の安全が危険にさらされたわけではなく、原告らが主張する精神的苦痛は根拠に乏しい」と指摘。損害賠償請求を認めるべき利益の侵害はなかったとして、憲法判断はせずに請求を棄却した。
違憲確認は「確認の利益がない」、派遣差し止めは「行政権行使に対する民事上の請求権はない」と判断、いずれも不適法として却下した。
原告団によると、同種訴訟は岡山を含め全国11地裁で提訴。原告側全面敗訴が続いたが、名古屋高裁は昨年4月、原告の請求を棄却した上で航空自衛隊の空輸活動は憲法9条に違反すると初判断。勝訴の国は上告できず判決は確定した。
昨年12月の空自帰還を受け、札幌、福岡両高裁で係争中だった原告らは控訴を取り下げ、岡山地裁のみ係争中だった。