奈良の医師宅放火殺人の調書漏えい事件で、秘密漏示罪に問われた精神科医崎浜盛三被告(51)の公判が24日、奈良地裁であり、検察側は「前代未聞の事件で、秘密漏示としては最も悪質」として懲役6月を求刑、弁護側はあらためて無罪を主張し結審した。判決は4月15日。
崎浜被告は医師の長男(18)=中等少年院送致=を精神鑑定し、調書を引用した本の著者草薙厚子さん(44)に調書を漏らした、とされる。
論告で検察側は「医師の業務として鑑定をしており、守秘義務があったのは明らか」と指摘。父親や長男の了解を得ずに調書を渡したことを「身勝手で自己中心的。プライバシーに何ら配慮していない」と批判した。
さらに「被告が(草薙さんに)だまされたという側面はあるが、安易に調書を見せたことがそもそも問題」とした。
弁護側は(1)秘密漏示罪が守秘義務を課すのは医師で、鑑定人は対象外(2)長男に殺意がないと社会に伝えたいという正当な目的があった−などと無罪を主張。