日本経済新聞社のOBから同社株を購入したのに、事業関係者ではないことを理由に無効と扱われたのは不当として、作家の高杉良さんが株主の地位確認を求めた訴訟の判決で、東京地裁は24日、請求を棄却した。
矢尾和子裁判長は、事業関係者以外への譲渡を禁止した定款について「新聞社の独立と言論・報道の自由を図ることを目的とした日刊新聞法に基づいており、定款に反する譲渡は無効」と指摘。
「自分は日経から本を出版し、経営改革も提言してきた事業関係者だ」とする高杉さんの主張に対しては「出版は日刊新聞の発行事業そのものではない」として退けた。
一方で、このOBが、高杉さんへの株譲渡のため退社後も株を保有できる「社友」の地位を奪われたのは不当とする訴えについては、矢尾裁判長は、OBが株主であることを確認した。
日経側は、株譲渡により社の信用が傷つけられたと主張。「株の保有資格が失われたときには社員株主で構成する団体が買い取る」という社内ルールに従い、団体がOBの株を譲り受けたと訴えたが、判決はルールの有効性を認めた上で「犯罪を行った場合などと異なり、株譲渡を理由に社友資格を取り消したのは不当」と判断した。
判決によると、高杉さんは2006年7月、OBの男性から736万円で1000株を譲り受ける契約を結んだが、日経側が譲渡を認めなかった。