厚生年金の受給資格を満たしていたのに、社会保険庁のミスで無年金とされ、船員保険の年金を受け取るために60歳から漁師に−。民主党が24日、国会内で開いた会合に、こんな被害を受けた故人男性の長男が出席し、父親の無念を訴えた。
男性は千葉県銚子市の宮内卯之助さん。長男の勇さん(79)によると、宮内さんは1942年から59年まで同県内の会社に勤務し、厚生年金に203カ月加入した。
年金の受給権を得るためには原則25年(300カ月)の加入期間が必要だが、47年4月1日以前生まれの人には、40歳以後の厚生年金加入期間が15年あればよいとする特例措置がある。
宮内さんはこの特例の対象となるが、60年ごろ受給申請した佐原社会保険事務所は資格なしと判断。職員が記録を見間違えたか、特例措置を知らなかったとみられる。
宮内さんは加入期間が短くてすむ船員保険の受給資格を得るために、60歳から巻き網漁船の漁師に。11年あまり働いて、年金を受け取り、85年に81歳で亡くなった。