愛知県西尾市の土地利用をめぐる汚職事件で、同市長中村晃毅容疑者(71)=受託収賄容疑で逮捕=に600万円のわいろを渡したとして贈賄容疑で逮捕された人材派遣会社「大成閣」社長の村田英紀容疑者(67)が、事件の舞台となった社有地が市街化調整区域で土地利用のめどが立っていない段階から外国人研修センターの設計に着手するなどの準備を進めていたことが分かった。村田容疑者が中村容疑者の協力を期待して先行投資をしていた可能性が強く、結果的に頓挫したため、両者の関係が急速に冷え込んだとみられる。
関係者によると、村田容疑者は競売で取得した西尾市下永良町の市街化調整区域に研修センターの設置を計画。1階に研修室や講義室、2階に個室20室を備えた延べ約1200平方メートルの建物を建設する予定だった。2007年1月の段階では施設設計のたたき台も完成し、村田容疑者は「費用を負担した」と親しい知人に漏らしていたという。
中村容疑者は07年春、市職員に対して建設が可能かどうかを検討するよう指示をしており、設計段階では土地利用のめどは立っていなかった。ある設計業者によると、施設規模からすると本格的な設計であれば数百万円が必要とされる。センター設置に対する村田容疑者の強い意気込みとともに実現を楽観していたことがうかがえる。
最終的に構想は実現せず、関係者によると、村田容疑者は中村容疑者に600万円の返還を求めた。「先行投資をしたのに約束が守られない」と不満を漏らしていたという。
(中日新聞)