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2009年02月24日(火) 02時07分

受精卵3個、同時期に移植 学会の規定違反承知で 東京新聞

 香川県立中央病院(高松市)の受精卵取り違えで、川田清弥医師(61)が昨年9月、多胎妊娠を防ぐための日本産科婦人科学会の倫理規定に違反すると認識しながら、人工中絶した20代女性に、本人のものを含む3個の受精卵を移植していたことが23日、分かった。

 多胎妊娠は胎児にも妊婦にも危険が大きいため、学会は昨年4月、妊娠可能な同じ期間に移植する数を「原則として1つ」と定めている。

 川田医師は昨年9月、2度に分けて計3個の受精卵を女性に移植。うち1個は別の患者のものの可能性が高いが、残り2個は女性本人のものだという。本人の受精卵が妊娠に至った可能性も否定できず、親子関係を十分に確認せずに中絶した問題点もある。

 共同通信の取材に川田医師は「(規定に)抵触するのは分かっていたが、妊娠率を上げるためにやった」と説明。ずさんな治療実態があらためて浮き彫りになった形だ。

 川田医師によると、昨年9月18日、作業台に複数の培養容器を並べて、どの受精卵を移植するか検討。この日は2個を女性に予備的に移植。最も成育状態が良い1個は保存しておいて20日に移植した。最後の1個は、廃棄予定で作業台に置いてあった別の患者の受精卵の可能性が高いという。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2009022301000933.html