異性に好意を抱かせて高額商品を契約させるデート商法の被害に遭った三重県の男性(28)が、クレジット契約を結んだ信販会社に対して既に支払った106万円などの返還を求めた訴訟の控訴審判決があり、名古屋高裁は「契約は公序良俗に反し無効」として、会社側に既払い金の返還を命じるとともに原告には未払いのクレジットを拒否できる権利があるとした。
判決は19日にあり、代理人の弁護士らによると、デート商法で、信販会社に不法行為の責任を認めた判決は初めて。現在でも年間約550件の被害があり、判決が与える影響は大きそうだ。
判決理由で、岡光民雄裁判長は「女性販売員との交際が実現するような錯覚を抱かせ、契約する不公正な方法の取引で契約は無効」と認定した。その上で、信販会社が販売業者の不相当な販売行為を知っているのに漫然と契約を行ったとして「販売業者の不法行為を助長し、不法行為責任を負う」と結論づけた。
判決によると、男性は2003年3月、勧誘の電話がきっかけで、レストランで販売員の女性に会った。交際をほのめかすような話をされたり、手を握られたりした上で、指輪の購入を勧められた。さらに、後から来た数人の販売員からも再三勧められて、男性は指輪2点とネックレス1点を購入。総額218万円のクレジット契約を申し込んだ。
一審・津地裁伊勢支部は、原告側の訴えを退けていた。被告の信販会社は一審時は「ジーシー」(東京)だったが、控訴審では営業譲渡を受けた「GEコンシューマー・ファイナンス」(東京)が訴訟を承継。デート商法で販売業者だった「シェルフィオーレ」は現在、廃業している。
◆画期的で影響多大
<クレジット被害対策・地方消費者行政充実会議副代表の小野寺友宏弁護士の話> 自己責任を問われてしまいがちなデート商法で、信販会社の責任を認めた判決は聞いたことがなく、画期的。デート商法では信販会社と連携する仕組みがないと成り立たず、今回の判決が同種犯罪に与える影響は大きい。
(中日新聞)