水着素材の開発を手掛ける複合特殊素材メーカーの山本化学工業(大阪市)は24日、アリーナ(イタリア)やTYR(米国)、ミズノなど国内外の大手スポーツメーカー15社との間で、競泳用の「高速水着」素材を提供する契約を同日までに結んだと発表した。
国際水泳連盟(FINA)が20日、今シーズンの大会で英スピード社のレーザー・レーサー(LR)など高速水着の着用を認めたのを受け、各社が試作品の素材として採用を決めたという。
北京五輪で世界新記録を量産したLRに対抗し世界のメーカーが開発にしのぎを削る中、大阪の中小企業の技術力が存在感を示しそうだ。
素材名は「バイオラバースイム」。化学繊維の上にラバーやチタンを重ね、表面の摩擦抵抗を減らした。2種類の素材で計8万着分、約2億5000万円の受注を見込む。
1月25日に開かれた競泳のコナミオープンでは、この素材を使ったミズノの新型水着を着た男子背泳ぎの入江陵介(近大)が、200メートルで日本記録を出した。
大阪市内で記者会見した山本化学工業の山本富造社長は「より選手の身体に優しく、身体能力を最大限に発揮できる素材作りに努める」と述べた。