【ロンドン23日共同】国連工業開発機関(UNIDO、本部ウィーン)はロンドンで23日、1日1ドル(約94円)未満で暮らす最も貧しい層を抱える貧困国は、農産物や資源など1次産品の輸出だけでなく、工業化によって国の発展を目指すべきだと指摘する報告書を公表した。
こうした層はアフリカや南アジアを中心に約10億人いるという。
UNIDOのユムケラ事務局長はロイター通信に対し、最貧困層を助け出せなければ、先進国への大量移民などが発生すると指摘。また世界的な経済危機で各国が保護主義に走れば、貧困国に打撃を与えると強調した。
報告書は、貧困国の目指す工業化の道として、完成品の衣服ではなく、ボタンの製造に特化することで成功した中国浙江省橋頭鎮の例を挙げた。
一方で、石油や鉱物資源の輸出に頼った経済運営をする貧困国に対して、資源への依存は工業化を遅らせ、物価上昇を招くと警告した。