【パリ23日共同】フランスの服飾デザイナー、故イブ・サンローラン氏の遺産として競売に出品されるブロンズ製のネズミとウサギの頭部像が、中国からの略奪品だとして中国側が競売中止の仮処分を求めた訴訟で、パリの地方裁判所は23日、原告の訴えを棄却した。
この結果、頭部像は予定通り25日午後7時(日本時間26日午前3時)から、パリのグラン・パレで競売にかけられる。同氏が残したほかの収集品の競売は23日から始まった。
ネズミとウサギの像は1860年、第2次アヘン戦争に伴う英仏連合軍の北京侵攻で清朝の離宮、円明園から略奪された。中国外務省は「中国に所有権があるのは疑いの余地がなく、競売は中国人の感情を傷つける」と批判し、中国の弁護士や団体は、競売差し止めを求め提訴。これに対し、競売を実施するクリスティーズは合法的な競売と主張していた。
頭部像は落札価格として一体で1000万ユーロ(約12億円)と予想されている。