闘魂ならぬ“盗魂”三銃士が逮捕された。警視庁神田署は23日、プロレスグッズ店からミル・マスカラスの覆面や現金を盗んだとして、強盗傷害の疑いで住所不定無職の久保田克己容疑者(50)ら3人を逮捕した。神田署によるとリーダー格の久保田容疑者は大のプロレスマニア。面が割れた後は、素直に容疑を認めているという。
逮捕容疑は昨年5月5日夕、東京都千代田区三崎町の「プロレスマニア館」で70歳の男性店員に蹴るなどの暴行をしてけがを負わせた上、現金15万9000円と13万680円相当の覆面5枚を盗んだ疑い。
ほかに捕まったのは千葉県白井市の花川真也容疑者(28)と柏市の片石肇容疑者(28)で、3人とも無職。司令塔となった久保田容疑者と実行犯の花川容疑者は容疑事実を認めているが、もう一人の実行犯、片石容疑者は、いまだに否認しているという。
燃える盗魂が抑えきれなかったのか。主犯の久保田容疑者は筋金入りのプロレスファン。プロレスの聖地、後楽園ホールがある水道橋駅近くに店を構える同店には、店長(33)と顔見知りになるぐらい出入りしていた。
犯行に及んだのは、店長不在で70歳の高齢男性が一人で店番をしている時。昨年5月5日午後6時40分ごろ、2階の売り場に押し掛けると「金を出せ」と脅迫。現金と覆面を盗んだ上、必死で抵抗する男性の腹部にニーパット(ひざ蹴り)を見舞い、そのまま逃走したという。
マニアだけに覆面を見る目は確かだった。盗んだ覆面5枚のうち3枚は、レスラーが試合で使用するのと同質の高級品(2枚はオモチャの廉価品)。ミル・マスカラス、初代タイガーマスク、シコデリコ(マスカラスの弟)の覆面で1枚で2万から3万5000円くらいの高価なものだ。19日に暴行で逮捕されたザ・グレート・サスケの覆面はオモチャの廉価品なら在庫があったが、容疑者たちの食指はまったく動かなかったようだ。
神田署は、奪われた覆面が転売される可能性があるとみて、プロレスグッズ店などに注意を呼び掛けていた。5月中旬ごろ、板橋区内の覆面販売店で、久保田容疑者が覆面を持ち込んで値踏みしていたことが発覚。同署が調べていた。
この事件以降も、3人は犯罪を繰り返していたという。昨年10月には千葉・行徳で久保田容疑者はひったくり、花川容疑者は強盗で、それぞれ逮捕。昨年12月、片石容疑者は葛飾区内での別の強盗事件を起こして逮捕。覆面泥棒の容疑はすでに固まっていたが、それぞれの立件を待って、まとめて神田署へ護送した。
◆マスク戻るか店長は不安顔 ○…店長は「捕まってよかった。もっといいことでプロレスが話題になって欲しい」とホッとした表情で苦笑い。盗難されたマスクの有無は家宅捜索で判明するが、証拠隠滅のために遺棄されてしまった恐れもある。店長は「あとはマスクだけでも無事に戻って来てくれればいいのですが…」と不安顔だった。
(2009年2月24日06時01分 スポーツ報知)
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090224-OHT1T00070.htm