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2009年02月23日(月) 03時04分

がん患者の負担減へ、オリンパス・島津製作所・慶大が研究拠点読売新聞

 医療機器大手のオリンパスと島津製作所は慶応大と共同で、2010年にがんの治療技術に関する研究開発センターを新設する。

 患者の体への負担が少ない治療法を専門に研究する拠点で、日本では初めてとなる。超小型ロボットの開発など、産学連携で次世代の医療機器や医薬品などの開発に取り組む。

 研究開発センターは東京・信濃町の慶応大医学部キャンパス内に設ける。投資額は実験機器などを含めて約20億円に上り、このうち8億円を国が補助する。

 研究対象は、治療に伴う出血や体組織の切除などを抑える「低侵襲療法」と呼ばれる治療法だ。具体的には、口から体内に入って遠隔操作で治療できる超小型ロボットや、がんの部位を正確に特定することで切除部分を最小限にする診断装置などの開発を目指す。

 オリンパスは、口からのみこむカプセル型内視鏡を開発するなど内視鏡に強みを持つ。島津製作所は、陽電子放射断層撮影(PET)など画像診断装置を得意とする。センターの新設には、横河電機や浜松ホトニクスなども参加する予定だ。慶応大では機器や医薬品の開発により、年間約250億円の経済効果が期待できるとみている。

 センターの開設を待たず、既存施設を利用して09年中に共同研究を始め、医学部に併設の慶応大病院とも連携する。基礎研究から臨床実験まで一貫した態勢を1か所に築くのも異例としている。

 低侵襲療法 手術や検査などの際に患者に与える外傷や出血、放射線の被曝(ひばく)、痛みなどを医療用語で「侵襲」という。侵襲が少なければ、早期の回復が見込める事例も多いとして研究が進んでいる。医療機器をより小型・高性能にする必要があり、政府が研究開発への支援を強めている。

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20090223-OYT1T00014.htm