政府は23日、市場に出ているすべての化学物質について、一定量以上の製造や輸入を行う事業者に、毎年、その量を国に届ける義務を新たに課すことなどを柱とした化学物質審査規制法(化審法)の改正案をまとめた。人や生態系への影響が明確でない場合でも製造量などの報告を求め、予防的な対策を強化する。24日に閣議決定、国会に提出する。
現行の化審法は、新規の化学物質すべてと、既に市場に出ている既存化学物質の一部について、国が安全性を評価、必要に応じて製造・輸入量の届け出を事業者に求め、有害性が強いものは製造禁止などの規制をしている。だが、約2万種の既存物質のうち、評価を終えたのは約1600種にとどまり、残りは毒性などが評価されないまま流通している。
改正案は、事業者が届け出た有害性の情報などを基に国が簡易評価、人や生態系への影響が懸念されるものを「優先評価化学物質」に指定。その後、国がさらに詳しく評価し、強い有害性や環境への残留性があると判断すれば「特定化学物質」として、製造・輸入の禁止や制限、有害性情報の表示などの措置を取る。