副作用の報告を受け、4年前から子どもへの定期予防接種が事実上中断している日本脳炎ワクチンについて、厚生労働省は23日、阪大微生物病研究会(大阪府吹田市)が開発した新ワクチンの製造販売を承認した。5月には供給可能になる見通し。
承認を受け同省は定期接種の再開を目指す方針だが、当初は供給不足が見込まれるなど課題が多いため、接種対象や優先順位の検討を進める。
新ワクチンは「組織培養法」という方法で製造され、原材料にマウスの脳を使用した旧ワクチンより、副作用のリスクが低いと期待されている。
旧ワクチンは、接種後に急性散在性脳脊髄炎(ADEM)を発症した中学生の事例が明らかになり、厚労省が2005年5月「接種を積極的に勧奨しない」との見解を発表。費用が公費で賄われる定期接種が事実上中断した。新ワクチンの開発も予定より遅れ、日本脳炎の免疫がない子どもが増えたとして、専門家が影響を懸念していた。