愛知県西尾市の土地利用をめぐる汚職事件で、受託収賄容疑で名古屋地検特捜部に逮捕された同市長中村晃毅容疑者(71)が特別顧問を務める政治団体が、贈賄側の人材派遣会社の強い意向で、外国人研修生を受け入れる協同組合設立を西尾商工会議所に働き掛けていたことが関係者の話で分かった。中村容疑者は、この会社が計画していた外国人研修センター建設の許可を検討するよう市幹部に求めており、政治団体の働き掛けにも関与していた可能性がある。
この政治団体は、西尾市や近隣自治体の中小製造業者などで組織する「三河南部研究会」。贈賄側の人材派遣会社「大成閣」=愛知県吉良町=社長の村田英紀容疑者(67)に近い関係者によると、中村容疑者の支援者らが事実上、運営を取り仕切っていた。支援者らは村田容疑者の知人でもあったという。
政治団体による協同組合設立への働き掛けは、中村容疑者が市長に就任した後の2006年ごろ。商工会議所を巻き込めば、公的な性格の受け入れ機関として研修センターの建設が許可されやすいと考えた村田容疑者の意向だったという。07年春ごろには、商工会議所加盟の機械製造業者らでつくる団体が、会員企業を対象に外国人研修生を受け入れる新たな母体の必要性についてアンケートを行った。だが、多くの賛同が得られなかったため、計画は商工会議所内で議論されることなく、立ち消えとなった。
逮捕容疑では、村田容疑者は西尾市内の社有地に外国人研修センター建設を計画。社有地は、農業関係に使途が限定される市街化調整区域にあるため、中村容疑者に現金600万円を手渡し、建設許可を出すよう求めた疑いが持たれている。協同組合の設立計画について、団体の会員企業の幹部は「当時、唐突に話が出てきたという印象だった。賛同した企業はほとんどなかったと思う」と話している。
(中日新聞)