破綻した通信ベンチャー企業「平成電電」が虚偽の宣伝で投資家から計3億6000万円をだまし取ったとされる事件で、詐欺罪に問われた関連会社「平成電電システム」の元社長熊本徳夫被告(56)と元役員坂上好治被告(50)に、東京地裁は23日、いずれも実刑とする判決を言い渡した。
判決は熊本被告が懲役6年(求刑懲役10年)、坂上被告が懲役3年(求刑懲役6年)。
合田悦三裁判長は「組織的、悪質な犯行。多くの被害者は老後の生活資金を詐取された中高年者で被害額が6000万円に上る人もいる。影響は深刻だ」と指摘した。
一方で、平成電電の元社長佐藤賢治被告(57)=同罪で分離公判中=を首謀者と認定。「両被告の関与は、佐藤被告に比べ従属的」と述べた。
佐藤被告は起訴内容を否認している。
熊本被告らは「だますつもりはなく、共謀もしていない」と無罪を主張していたが、合田裁判長は「『通信機器の購入費にする』という募集資料の説明通りに出資金が使われないと知っていたのに、金を平成電電に流して回収不能にした」などとし、詐欺罪が成立すると判断した。