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2009年02月23日(月) 11時40分

受精卵の廃棄数記録せず 取り違えの担当医東京新聞

 香川県立中央病院(高松市)の受精卵取り違えで、担当の川田清弥医師(61)が、不妊治療に使わずに廃棄した受精卵の数を治療記録に残していなかったことが23日、分かった。

 誤って20代女性に移植されたのは廃棄予定の別の患者の受精卵とみられ、記録があれば人工中絶に先だって、移植ミスを検証できた可能性がある。

 松本祐蔵院長は「記録は取っておくべきだったと思う」と話し、ずさんな管理態勢をあらためて認めた。今回の問題を受け、同病院は受精卵の廃棄数の項目を治療記録に設けたという。

 松本院長によると、川田医師は昨年1月、データベースで受精卵の成育状況や作業日時などを記録し始めたが、廃棄数を記入する項目は設けなかった。時々手伝うことがあった臨床検査技師は廃棄数も記録していたが、今回の件では川田医師が1人で作業したため記録が残らなかった。

 病院側は、川田医師の記憶と受精卵の成育状況を頼りに、取り違えが起きた可能性が高いと判断。羊水検査や絨毛検査は行われなかった。

 日本産科婦人科学会は体外受精にあたって、受精卵の識別や確認、管理を厳重に行うよう通知している。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2009022301000332.html