北海道釧路市の道立釧路明輝高校(加藤和美校長)が、2009年度から自由選択科目として、アイヌ民族の歴史や文化を学ぶ「アイヌ文化」を設ける。道教育委員会によると、アイヌ文化に特化した科目の設置は道立高校では初めて。道内のアイヌでつくる北海道ウタリ協会は「こうした取り組みが広がってほしい」と歓迎している。
同校によると、授業は2、3年生の希望者を対象に週1回行う。釧路市出身のアイヌ文化の伝承者や研究者らを非常勤講師として招く予定。授業の具体的な内容は講師らと相談しながら決める。
道内の小中学校の一部ではアイヌに関する授業が行われているが、高校では日本史や現代社会でわずかに触れられるのが一般的。同校は「地域について知るには、アイヌ文化についても学ぶ必要がある」としている。
ウタリ協会の加藤忠理事長は「教育は非常に重要な要素。授業をきっかけにして、アイヌ民族に対する理解が深まればうれしい」と話す。
政府は昨年6月、アイヌを先住民族と初めて認定。有識者懇談会を設けて社会的経済的な地位の向上を目指した議論を進めている。