朝日新聞阪神支局襲撃事件など一連の警察庁指定116号事件について、週刊新潮が2月5日号から「実行犯」を名乗る島村征憲(まさのり)氏(65)の手記を連載した問題で、朝日新聞は23日朝刊1面で「手記には事実と異なる点が数多く含まれ、真実性はない」とする異例の反論記事を掲載した。
さらに、1ページ全面を使って「虚言 そのまま掲載」とする特集面を作り、週刊新潮が2月26日号まで4回にわたって連載した手記のうち、14項目にわたって事実や朝日新聞の取材結果と異なる点があると説明。
朝日記者が2006年5月、島村氏と面会した際、1987年5月の阪神支局襲撃事件について、島村氏が「(殺害された)小尻知博記者(当時29歳)を狙った」と話したことなども明らかにし、「金が目的で、小尻記者を狙ったわけではない」とする週刊新潮の手記とは正反対の内容だったと指摘している。
その上で、特集面は、週刊新潮の連載を「『虚構』としかいいようのないものだった」「週刊新潮は確かな裏付け結果を記事中に示さなかった」と厳しく非難し、「事実に基づかない記事は、被害者の名誉を傷つけ、遺族の思いを踏みにじった。『虚報』の責任は、証言者だけでなく新潮社も負わなければならない」としている。
朝日新聞大阪本社広報部の話「週刊新潮の記事は読者をいたずらに混乱させるもので誠に遺憾。ジャーナリズムのあり方が厳しく問われる問題でもある」
週刊新潮編集部の話「手記において『秘密の暴露』や『物証』にあたる部分はすでに提示しており、後は捜査当局の判断を待つだけです」
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090223-OYT1T00645.htm