自民党の井脇ノブ子衆院議員(比例近畿)がいずれも理事長を務める財団法人と学校法人との間で、約3億4000万円の不明朗な会計処理が行われていたことがわかった。
財団側の事業の失敗による損失を学校法人側に肩代わりさせたうえ、財団側がその損失を簿外で処理していたという。井脇氏は23日、大阪府庁で記者会見して事実関係を認め、「(会計の手法は)失敗だった。申し訳ない」と謝罪した。いずれの理事長も辞任する意向を明らかにしたが、議員辞職については、「やめません。出直します」と否定した。
財団法人は「少年の船協会」(東京都豊島区)、学校法人は、静岡県菊川市と和歌山県日高川町で二つの高校を運営する「国際開洋学園」(菊川市)。
井脇氏によると、同協会は1988年、航路廃止で競売にかけられた青函連絡船を2億8000万円で購入し、小中学生を対象にした海洋研修用に改修。「21世紀号」として、金融機関から8億円、学園から3億6000万円の融資を受けたが、運転資金に行き詰まるなどして99年に6000万円で韓国企業に売却した。
しかし、学園側には、約2000万円しか返済できず、学園側は2005、06両年度に残りの3億4000万円を損失処理した。学園側はこの処理を行うまで、3億4000万円は「貸付金」として計上し、所管の静岡県に報告していた。
一方、協会は、所管の厚生労働省に提出した帳簿に、金融機関からの負債は記載していたが、学園側の貸し付けに対応する負債は明記していなかった。
不適切な会計処理が行われた理由について問われた井脇氏は「分からない」と述べたまま、しばらく沈黙。「公認会計士らと相談して、改めて説明したい」と答えるのが精いっぱいだった。
井脇氏は大分県出身。05年9月の衆院選で大阪11区に自民党公認で出馬、敗れたが、比例選近畿ブロックで復活当選した。
「少年の船協会」を所管する厚労省育成環境課は「井脇氏側からは何の連絡もない。間違った内容を報告しているのであれば、修正してもらわなければならない」としている。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090223-OYT1T00499.htm