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2009年02月23日(月) 21時38分

コソボの少女、日本で手術重ね回復…紛争でやけど負う読売新聞

コソボ中部スケンデライの自宅前で、母フェティエさん(左)に肩を抱かれてほほえむベシアーナちゃん。セルビア部隊の砲撃で破壊された家は、父親が自ら再建したという(金子亨撮影)

 旧ユーゴスラビア・セルビアから独立を宣言して1年を迎えたコソボで、11年前に大やけどを負った少女が日本で手術を重ね、着実に回復している。

 ベシアーナ・ムスリウちゃん(12)は日本語を話したくてたまらない様子だった。「東京ディズニーランドが一番」「日本の海、すごくきれい」。だが、顔の皮膚移植の跡がつらい過去を思わせる。

 コソボの多数派アルバニア系住民に対し、セルビア部隊が攻勢を強めた1998年春。中部スケンデライの自宅をセルビア部隊の砲撃が襲った。当時1歳9か月のベシアーナちゃんは頭と顔に大やけどを負ったが、地元医療機関は止血するのがやっとだった。

 99年の停戦後、コソボ入りした民間支援団体「ADRA」の日本人スタッフの尽力で、東京で手術が2000年3月に始まった。渡航はこれまでに計5回。手術費など1500万円は募金でまかなった。

 毛根が残る頭皮を引っ張って伸ばし、傷んだところに移植した。「とっても痛かった」とベシアーナちゃん。「でも、ほら」と、胸元まで伸びた髪をなでる。今夏の手術が最後となる見込みだ。「日本で医療の仕事がしたい」と笑った。(コソボ中部スケンデライで 金子亨 写真も)

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20090223-OYT1T00843.htm