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2009年02月22日(日) 16時29分

大竹手打刃物守る越水さん中国新聞

 大竹市松ケ原町で、広島県指定の伝統的工芸品「大竹手打刃物」を、越水龍雄さん(79)が守っている。

 江戸で免許を得て1838年から岩国藩の刀匠となった、初代青龍軒盛俊の直系。2代目の一番弟子だった祖父が1895年、地元に戻って現在の自宅に鍛冶場を開いた。

 越水さんは16歳で4代目の叔父に弟子入りした後、いったん地元企業に勤める。刀匠への思いを断ち切れず、33年前に家族の反対を押し切った。

 「よく切れ、研ぎやすく、切れ味が持続する」と自らの包丁に自信をみせる。地金と鋼を結合させる「沸かし」や焼き入れ、研磨…。繊細な工程は職人の腕が試される。

 「タマネギを切っても目が痛まん。毛もそれる」。仕上がりを試す左腕は、いつもつるんとしている。

 人口332人の松ケ原町は昨春、少子高齢化で小学校が廃校になった。旧知の友人も減り、寂しさが募る。しかし、「生涯現役。90歳までは、やらんといけん」と意気込む。

【写真説明】大竹手打刃物を鍛える越水さん

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200902220111.html