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2009年02月22日(日) 02時06分

イラン革命30年 米国との歩み寄りはあるか(2月22日付・読売社説)読売新聞

 イスラム革命から30年という節目の年を、イランは、転機の年にすることが出来るだろうか。

 イランは、国際社会の要請に耳を貸さず、核開発に邁進(まいしん)している。国外のイスラム過激派勢力を公然と支援していることもあり、中東地域における大きな緊張要因とみなされてきた。

 こんなイランが仮に、国際社会での孤立から抜け出す道を探る姿勢に転じるなら、地域の安定に大きく寄与することになろう。

 楽観は禁物だが、期待を抱かせる幾つかの動きがある。

 何より、イランとの対話路線を打ち出したオバマ米政権の登場である。革命後間もなく外交関係を断った両国の間に、対話はなかったから、テーブルを挟み、双方が顔を向き合わせれば、それ自体、画期的なことになる。

 オバマ大統領は無論、イランの核開発を容認しているわけではない。だが、イランを「悪の枢軸」の一角に位置づけ、対話を拒んだブッシュ前政権とは、手法が大きく異なる。

 前政権が厳しい姿勢を堅持したものの、結局はイランの核開発の進展を許したことへの反省もあるだろう。

 オバマ政権内で、南アジア問題を担当するホルブルック特別代表は、アフガン問題におけるイランの重要性を強調した。

 アフガン情勢の泥沼化は、米国とイランの双方にとって避けたいところだ。当面は、意見に根本的な相違のないこれらの問題の議論を通じ、少しずつ隔たりを乗り越えようというのだろう。現実的な方策と言えよう。

 米国だけが一方的に手をさしのべても、関係改善は実現しない。イランの指導者はまず、30年間も繰り返してきた反米キャンペーンをやめることだ。

 保守強硬派で、反米を唱えてきたアフマディネジャド大統領は、相互尊重を対話の条件に挙げている。妥当な主張だ。そのまま実行に移せばいい。

 アフマディネジャド大統領の失政で、現在のイランは、20%超の高インフレや若者の失業問題を抱えている。米国との関係好転をバネに、経済再建を目指すことが賢明な選択だろう。

 その意味でも、6月のイラン大統領選が重要なカギを握る。現職に対抗して、改革派で穏健な対欧米路線を主張しているハタミ前大統領が出馬を表明した。事実上の一騎打ちとなる見通しの大統領選の行方からも目を離せない。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20090222-OYT1T00018.htm