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2009年02月22日(日) 00時00分

「2・26」刻んで73年読売新聞

復元の渡辺総監邸初公開
復元された渡辺邸の玄関

 2・26事件で、青年将校に襲撃されて殺害された渡辺錠太郎・陸軍教育総監の私邸の一部を復元した特別展「二・二六事件の現場」が21日、杉並区立郷土博物館(大宮1)で始まった。これまで公開されなかった内部の様子が見られるとあって、多くの区民が訪れた。(横溝崇)

 1936年(昭和11年)に起きた事件では、クーデターで政権を奪おうとした青年将校が高橋是清ら政府首脳を襲撃・殺害した。上荻2にあった渡辺邸は、午前6時ごろ襲撃された。遺族は事件後も私邸に住み続けたが、老朽化が進んだことなどから、昨年2月に取り壊された。

 特別展では、区が遺族から寄贈された玄関の扉やふすま、照明器具など30点のうち、16点を展示。青年将校が銃床などでたたき壊して侵入を図ろうとした玄関や、渡辺が襲われた寝室に通じるふすまが復元されているほか、遺族から借りた弾痕の残る座卓なども展示され、当時の面影が感じられるようになっている。

 展示品に見入っていた上荻2の金岩和夫さん(81)は「2年ほど前に家を探したが見つけられなかった。今回の展示で内部が見られるのはありがたい」と話していた。

 同博物館では「多くの人に見てもらい、杉並でも2・26事件があったことを知ってほしい」としている。

 展示は5月10日まで。3月8日には、渡辺の次女で事件の現場にもいた渡辺和子・ノートルダム清心学園理事長の講演も行われる。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokyo23/news/20090222-OYT8T00108.htm