漁業などに深刻な被害を及ぼすクラゲの大量発生が近年、世界各地で続発、水質汚染や魚の乱獲といった海の環境破壊が引き金になっているとの報告書を全米科学財団の研究チームが22日までにまとめた。
毎年のようにエチゼンクラゲが大発生する日本海も主要発生地の一つに数えられ、「直径2メートルを超えるクラゲによって、2000万ドル(約18億6000万円)以上の漁業被害が出ている」とされた。
報告書は、汚染でクラゲ以外の生物がほとんど生息できなくなった海域が世界に400カ所以上、計25万平方キロに達すると指摘。
海洋汚染のほか、クラゲの幼生を食べる魚などが乱獲で少なくなったことが大発生につながっているとして、報告書は海の生態系保全対策の強化を各国政府に求めた。
報告書によると、クラゲの大発生がよく起きる海域は黒海や地中海、米国のハワイ沿岸やメキシコ湾、東海岸のチェサピーク湾など少なくとも世界に14カ所存在。
黒海では、船を安定させるためにタンクに入れる「バラスト水」に交ざって運ばれた外来種のクシクラゲの一種が繰り返し大発生。海水1立方メートル中にこぶし大のクラゲが1000匹以上も繁殖し、観光業や漁業に与える損害は3億5000万ドルに達するという。