ロシアに実効支配されている北方4島に本籍を置く日本人が、2004年以降急増し、昨年末に173人となったことが22日までに分かった。以前から可能だった歯舞群島に加え、1983年からは国後、色丹、択捉の3島にも本籍を移せるようになり、元島民や返還運動関係者以外でも転籍する人が増えている。
戸籍事務を扱う根室市によると、歯舞群島を除く3島へ転籍した人は2003年末までで計68人だったが、04年に「『北方領土』上陸記」の著者上坂冬子さんが国後島に移したことを機に増加。同年末までに90人、昨年末には計132人となった。島別では、最も遠方の択捉島が70人と最多で、国後島は43人、色丹島は19人。
歯舞群島には41人が本籍を置く。4島への転籍は、国内の通常の移転と同じ手続きででき、転籍者の旧本籍地は全国各地に及ぶという。
元島民団体の千島歯舞諸島居住者連盟幹部は「転籍の呼び掛けはしていないが、元島民の間では可能なら移そうという話はしている」と話す。根室市は「返還運動に対する心の支えとなる」と転籍増加を歓迎している。
歯舞群島を除く3島への転籍は、北方領土問題解決促進特別措置法で可能となった。
(共同)