政府はソマリア沖などでの海賊対策に随時自衛隊派遣を可能にする新法案に関し、海上自衛隊の護衛艦による外国船の防護は互いに近接している場合に限定する方針を固めた。離れた海域で海賊に襲われた外国船への「駆け付け警護」はしない。海賊対策を警察活動の一環と位置付け、武器使用も正当防衛と緊急避難を原則とする警察官職務執行法を準用し、大幅緩和は見送る。複数の政府関係者が21日、明らかにした。
現行の海上警備行動は(1)日本と無関係の外国船は防護対象外(2)相手に危害を与える攻撃が正当防衛、緊急避難に限定される−との制約があり、防衛省はこれを解消するため新法案を検討。だが憲法9条との関係から海外での武器使用を限定してきた内閣法制局が慎重姿勢を示し、海上警備行動での活動や武器使用と大差のない内容となった。新法案は3月上旬に閣議決定し、国会提出される。
関係者によると、外国船を積極的に警護せず、海上自衛隊が護衛する日本関連船の船団の中に外国船が加わってきた場合や、外国船が海賊の襲撃を受けている現場に遭遇したケースに限る方針。
武器使用は海上警備行動と同様、正当防衛と緊急避難に原則限定する警職法7条を準用。このほか「凶悪犯罪を行った者が抵抗」するなどした場合に武器使用が可能となる同条1号の準用を明確にする。